Thomas Tyman
名門美術学校ペニンゲンで学ぶ中で、トマ・ティマンはグラフィック構成を映像やモーショングラフィックによって「命を吹き込む」ことに情熱を見出します。2004年に卒業後、短編映像制作からキャリアをスタートし、モービーの楽曲「Dream About Me」および「Slipping Away」のミュージックビデオをアートディレクションとして手がけました。
その確かな技術とコンテンポラリーなスタイルはすぐに商業広告の世界にも注目され、2008年にはMatch.com、FNAC、Orangeなどの映像を制作。グラフィカルな映像美と洗練されたモダンな表現を持ち味とし、フレンチ・タッチの代表格C2CやDSLといったバンドのポップなミュージックビデオから、Chanel、Hermès、Van Cleef & Arpelsといったラグジュアリーブランドの幻想的な世界観まで幅広く手がけています。
また、フランスのオルタナティブラジオ「Radio Nova」設立30周年を記念したバイラルキャンペーンでは、注目の若手映像作家4人のうちの一人として抜擢されました。
THOMAS TYMAN
トマ・ティマンは、J.M. WESTONのストーリーに新たな章を加えた映像監督のひとり。「Paris est un ballet(パリはひとつのバレエだ)」と、英国のバンドCitizens!の楽曲「Fade Out」のミュージックビデオという2本の作品を通して、ブランドの新たな世界を映像で表現しています。
J.M. WESTONとの初めての出会いはいつでしたか?
高校時代、当時の親友がJ.M. WESTONを履いていました。90年代初頭、パリの高校の廊下でもうすでにファッションとして成立していましたね。
J.M. WESTONのために2本の映像を手がけられましたが、靴ブランドとの仕事は初めてでしたか? 
靴専業ブランドという意味では初めてですが、以前にHermèsの靴のための映像は手がけたことがあります。
あなたの作品には「男性的なエレガンス」が色濃く表れていますが、そうした美意識には敏感な方ですか? 
父はいつもシックで上品に装っていて、その影響は大きいですね。スタイルへの意識はそこで培われたと思います。現代の男性像をとらえ、その新しいあり方を映像に投影することは、私にとってまさに創造のフィールドです。

映画『Paris est un ballet』で、エトワールダンサー マチュー・ガニオが走るシーンには、どのような映画的影響がありますか?
レオス・カラックス監督の映画『汚れた血(Mauvais sang)』のワンシーンに強く影響を受けました。デニ・ラヴァンがデヴィッド・ボウイの楽曲に合わせて踊る、衝撃的なダンスシーンです。カメラは横移動(トラッキング)で全編を撮影していて、それがとにかくパワフルでした。この表現を『Paris est un ballet』の中でも取り入れたいと思ったんです。
「走る」という動きを、どのようにして「歩くようなダンス」へと変換したのですか? 
スポーティになりすぎないように、そして動きが軽やかで優雅に見えるよう、リズムを丁寧に調整する必要がありました。マチュー・ガニオが過不足なく絶妙な優雅さを作品にもたらしてくれました。カメラも横からのトラッキングで追いかけることで、流れるような動きとミニマルさを確保しています。私の目には、この映像はまるでひとつの連続したダンスのように、空中に浮かび上がるような軽やかさと一直線の美しさを感じさせてくれるんです。音楽もまた、観る人をある種のトランス状態へと導き、それが現代舞踊のパフォーマンスにも通じるような感覚を生み出しています。

『Fade Out』の映像は、『ロッキー・ホラー・ショー』などに代表される深夜のカルト映画を彷彿とさせる。
背景や照明は、B級映画のような美学を再現するために考えられました。わざとらしいクモの巣などを用いて、イラストのような、少しキッチュでアニメっぽいスタイルを演出しています。
俳優たちの演技については、『ロッキー・ホラー・ショー』のような洗練されたリファレンスではなく、どちらかというとアニメ『スクービー・ドゥー』に着想を得ています。そこには、お決まりのギャグや誇張された演技――仲間たちが、見かけほど怖くない冒険に巻き込まれるというような――が含まれます。この演出イメージをCitizens!のメンバーに撮影直前に伝えたところ、彼らはとても良いリアクションをしてくれました。
この映像が“真面目すぎる”重たいものになるのは絶対に避けたかったんです。軽快さやユーモア、B級映画的でありながらも、キャラクターの魅力やスタイリングを通じて“モード”で“エレガント”な印象も残したかったのです。
撮影は"
Catacombs of Paris"で行われました、どんな思い出が残っていますか? 
湿っていて、全身に染み込むような場所でしたね。
パリ・オペラ座のエトワールからイギリスのポップロックバンドまで——J.M. WESTONの男性像には多面性があると言えますか?
とても多様な人々がWESTONを履いています。でも共通しているのは、いつだって“エレガンス”と“シックさ”です。
 
J.M. WESTONの靴は、あなたにとってどんな象徴ですか?
効果的な誘惑の手段、ですね。
J.M. WESTONを表す言葉を3つ挙げるとしたら?
「タイムレス」「シック」「いたずら心」
 
  
  
  
  
  
  
  
  
  







